「では、30分後に」
大阪府警・畠山警部補の電話が終わった。電話の相手は岩田辰郎(たつお)、55歳。1年前まで大阪府警の刑事をしていた人物である。
「阿倍野の事務所にいました」
兵庫県警の伊吹警部にそう告げた。そして、2人の刑事は大阪城の西隣にある大阪府警本部を出た。
「伝説の刑事ですね?」
阿倍野へ向かう車中で、伊吹警部が尋ねた。
「一度、お会いしたいと思っていました。しかし、退職されていたとは」
「内部でいろいろとあって…。それより奥様を亡くされたことが。何ひとつ家内孝行できなかった、そう嘆いていました。娘さん2人は嫁いでいますので、今は気楽な独り身です」
「自宅の近くに部屋を借りて、探偵事務所を開いています。もっとも探偵というより街の防犯係と言った方が適切かもしれません」
天王寺駅は大阪を代表するターミナルである。和歌山、奈良への玄関口となっている。
もっとも、この駅名を使っているのはJRと地下鉄。隣接する近鉄の方は「大阪阿部野橋駅」を名乗っている。古来からある「阿部野橋」に因み、大正時代に付けられた駅名。今さら近鉄天王寺駅とは出来ないようである。
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大阪府警本部 |
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大阪阿部野橋駅 |
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阿部野橋駅の駅ビル・あべのハルカス |
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