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失敗に終わった。中舘顧問を説得し、協力してもらうことに。しかし、収穫はあった。 （推理通りだ） わずかな表情の動きから確信した。 「田々和が殺害されたとき」 ようやく顧問が話し出した。 「私は市長・歓迎パーティに出席している。調べは着いているだろ？」 畠山警部補がうなずいた。 「昔、捜査1課に余計な事ばかりする刑事がいると、聞いたことがある。上層部には相当、毛嫌いされていたとも聞いた。こんなところで出会うとは」 捨て台詞を残し、会議室から退出した。 「まいったなあ…。わかっていたなら、もっと早く教えてくださいよ」 警部補の言葉がボヤキに変わった。 「？」 「数字ですよ。710ー3が平城駅から長島駅までを指していると」 「暗号にしては単純すぎる発想だから、どこかで使用しているコード名だと考えた。1兆は後で付け足したようだ。線路建設に1兆円掛かるという意味で」 ツアー添乗員の小林優香のおかげである。当初、紙に書かれていたのは『710ー3』だけと教えてくれたから。つまり、710ー3だけで、意味のあるとわかった。 「岩田さんが経済に強いなんて知りませんでした」 イヤミを言った後、尋ねた。 「顧問をどう思いましたか？」 「やはり相当なタヌキだな。完璧なアリバイがあるのは、なにが起こるか知っていたということだ」 事件が起こる時間帯にアリバイを作っておけば、疑われることは無い。 「今から伊吹警部に説明してきます。われわれは今日のパーティに参加しません。よろしくお願いします」 パーティの様子を後で教えてください、との意味であった。 |
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