大阪駅に到着したのは午前0時過ぎ。駅から北新地へ走った。
ブルーパピヨンの入口では、黒服のスタッフが後片付けを行なっていた。
「岩田様、申しわけありませんが、本日はもう…」
スタッフは一度だけ来店した岩田を覚えていた。
「カレンさんに用時がありまして。いらっしゃいますか?」
「少し前に帰られましたが」
タクシーで難波へ向かった。そして、カレンが住む高層マンションの前で下車した。
インターホンで呼び出したが、まだ帰宅していないようであった。マンションの前で待つことにした。
待つこと15分、タクシーが到着した。
「先日は…」
近付き、タクシーを降りたカレンに声を掛けた。
「こんな遅くに、何か?」
スネた口調であった。
「少しだけ聞きたいことがありまして…」
「酔いをさますのには、丁度いいわ」
3人は近くのベンチへ移動した。カレンだけがベンチに腰掛け、その横に岩田と畠山警部補が立つ形となった。ビルとビルの間に、十日夜の月が出ていた。
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