「今のところ、殺害に結び付く人物はいません」
「不倫や援助交際をネタに、ユスリを行なっていました。ただし、ユスるのは一回だけ。金額も100万円以下です」
「相手を追い込まないというわけか?」
何度もユスったり、金額が多ければ、警察に駆け込まれる。
「はい。通帳の最終残高は2千5百万円。死後、銀行の口座から金は引き出されていません」
「画商がこの部屋に入ったようだ」
「マンションの管理人から話を聞きました。どうしても部屋を見せてくれと。仕方なく開けたそうです。ただ、部屋の中のものには触れていない、そう言っています」
「柿元順子もここに?」
「彼女はこちらがお願いしたのです。部屋の中を確認してもらうため。もっとも、この部屋に入ったのは一度だけ。変ったところがあるかどうか、わからないとのことでした」
「昨晩、北新地のクラブで柿元順子に会ってきたよ」
「そうですか」
後輩刑事には先輩がどう動くか、わかっていたようであった。
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