「ちょうど良かった。受付にいる右から2番目、梅田片山建設の片山社長だね?」
「ええ」
「その左が中京総合ツーリストの植芝会長?」
「ええ。そのとおりです」
この二人はホームページに顏写真が公表されている。片山社長は狂暴なツキノワグマに見えた。大きな体と日焼けした肌。タヌキと言われているのは、性格を指しているようであった。
植芝会長は白髪でスマートな体型。歳老いた学者という雰囲気であった。キツネと呼ばれる巧妙さやズルさは容姿から消えていた。
「秘書室長と立石さん、どこにいるかわかる?」
喫茶店のマスターの話では、この2人が選挙対策を担当している。
「植芝会長の左にいるのが、秘書室長の加美さん。さらに、その左が立石さんです」
2人をよく知っているようであった。共に中肉中背のサラリーマン。
(いかにも切れものという感じだな。秘書室長も立石も)
「仲間の方も、お見えになられていますよ」
「?」
「片山社長の後ろに立っている方、元府警の中館さんです」
身長は170センチ位。少し腹が出ていて太り気味。鋭い目とスキのない身のこなしが、何者であったかを物語っていた。
(説得できただろうか)
今日の午後、捜査協力を求めて、畠山警部補が訪ねたはずである。結果がどうであったのか、表情からは読み取れなかった。
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大阪市中央公会堂(中之島) |
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