太閤街道殺人事件
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いい天気である。秋晴れの空が広がっていた。

「ここの管理人は午後7時まで、です」
   
午後7時以降なら管理人はいない。
   
「ツアーの添乗員ですが、事件とは関係ありません。名前は確か、小林優香(ゆか)。名古屋総合ツアーサービスという派遣会社だったかな」

「ツアーバスの運転手も関係なさそうです。では、私はこれで」
   
片手を上げ、畠山警部補は車に乗り込んだ。

(相変わらず、よく気が付く男だ。刑事にはもったいない!)
   
去っていく刑事を見送りながら、そう思った。
 
(今日の話をまとめると)
   
(大阪の黒幕・井戸口は「木下藤吉郎が知事になること」を阻止したいと考えた。そこで田々和を使った。絵はその報酬。画商に渡せば、現金に換わる予定だった)
     
(そんな中、田々和が殺害され、絵も消えた)

(買い取る予定だった画商は、すでに販売先を決めていた。困った画商は井戸口に相談。井戸口は私を画商に紹介した)
   
(こういう筋書きになる)

井戸口が理事長をしている財団に、電話を掛けた。彼が関わっているなら、直接、話をした方が早い。知らない仲ではない。

午後2時、財団で会うことになった。

 
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